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早期退職で田舎暮らしを始めたM氏の場合 [社会ニュース]

会社を早期退職し、田舎暮らしのセカンドライフを始めることにしたM氏。60歳の定年まで5年あります。

「年金支給開始までどう生活するのか」「その年齢で辞めてもちゃんと年金がもらえるのか」…

退職を知った同僚から質問が相次いだそうです。

 

心配しているのかと思いきや、「自分も早く辞めたかったが機を逸した」「同じく早期退職を計画している」

とボヤキや夢が吹き出したそうです。軽々に口に出来ないけれど、早めのセカンドライフを考えている人は密かに多そう。

M氏の退職準備風景をのぞいてみました。

 

M氏が早期退職を決めたのは、6年ほど前。管理が出来なくなった棚田の一角を耕してみないかと誘われたことにありました。

それまでも都市部の市民農園を借りていましたが、棚田の美しい風景と澄んだ空気の中でかく汗は格別なものだったそうです。

夏には日ごとのびる草と格闘し、山から降りてくるイノシシや地域に棲みつくアライグマと収穫を競いながらも、

自分で作った米や野菜を食する営みは、人間の本来の姿に思えました。


農機具の使い方や水路の仕組み、地元農家に教わるひとつひとつが未知の世界。

本を読み農業日誌をパソコンでつけるうちに、週末の作業だけでは飽き足らなくなっていたのです。

 

そうした都市圏の人を呼び込んで、活性化を図ろうと考える農山漁村は全国各地にあります。
「田舎暮らし」「二地域居住」「移住」「スローライフ」「都市農村交流」……。

 

インターネットで検索すると情報は次々と現れます。活気ある地域づくりのためには「外からの移住者と共存」と考える自治体も多く、

「U・I・J」ターンを促すために土地柄をアピールし、住宅や土地など住まいの格安提供や補助、高齢者やこどもの医療費の無料化

、子育て支援費の支給と魅力ある暮らしの企画を打ち出しています。

 


気になる町村を比較検討し、最終的にM氏が関心を持ったその村も、移り住む人で少しずつ人口を増やし続けています。

住民と村で「見学ツアー」を定期的に催し、「田舎暮らし案内人」たちも配しています。M氏が、小さな村役場に入ってキョロキョロしていると

、職員の方から声をかけ村の説明をしてくれたそうです。冬には氷点下15度まで下がる寒さ。鉄道の駅はないが、高速道路の便は良いこと。

 

病院やインターネット事情。良いところも気をつけなければいけないことも時間をかけ丁寧に教えてくれます。
そして、M氏の心を捉えた一枚の紙が手渡されました。エクセルで作成した地味な表ですが、田舎暮らしの核心がそこにありました。

 

 

記されているのは、各区・自治会の加入条件です。一覧表からは地域の習慣やお互いの距離感が見て取れます。区民は負担金を支払い区に所属します。

 

 
「出払い」と呼ばれる草刈りや清掃、道路整備などの労務負担や、松茸山など区が持つ財産の権利を共有するのですが、この村では「正区民」と

「準区民」に分けて権利と義務の度合いに段階をつけています。ご近所付き合いに関わるニュアンスがわかり、定住の暮らしが想像しやすくなります。

 

村にとっても、自分たちの暮らしを理解してもらう重要な資料です。
こだわりの農業を実践している農家も訪問し手掛ける作物の目星もつけ、M氏は、移住先をこの村と定めました。

 

 

おりしも、世の中は「65歳まで全員雇用」時代。来月からは義務化されます。年金支給開始年齢が65歳に繰り上げられるため、

収入の空白期間をつくらないように講じられる必要な策ですが、それまでと同じような仕事内容や労働時間、賃金とは限りません。

 

部下が上司になることも。
働く人にとって、同じ会社にいることが生きがいにつながるとは考えにくい場合もあるでしょう。その時になって「起業できないか」

「転職できないか」「蓄えや親の遺産で食べてゆけないか」……。

 

ハタと考えるのではないでしょうか。ただ、その人に「やりたいこと」がない場合は、新たなことを始める情熱は沸きません。

 

M氏の場合は、こどもの教育費がかかりません。贅沢さえしなければ、年金開始年齢まで最低限の生活はできる計算です。

退職後の家計プラン表の収支も帳尻が合っていました。妻の賛同を得ているのも大きな味方。


田舎では、家族を養えるほどの仕事は少ないけれど、農林業の手伝いやスキー場のアルバイトなど、こまごまとした収入はあります。

 

「野菜をつくり、できればニワトリも飼い、森林ボランティアでストーブの薪を分けてもらいながら、自給自足に近い暮らし方をしたい。

体力があるうちに始めたい」といいます。経済的に豊かでないかもしれないけれど、生きることの楽しさが感じられる言葉です。

 

 

そんなM氏に、高校時代の同級生からはがきが届きました。公務員を早期退職し、行政書士事務所を開くという知らせです。

友人も、いつのまにか資格をとって準備し、人生の選択肢を広げていました


タグ:早期退職
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kaede

初めまして、kaedeと申します。興味深く読ませて頂きました。里山暮らしは未だ興味先行の私ですので、大変参考になりました。
by kaede (2013-03-25 14:46) 

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